2本で1本のギター

先日のブログで「Sittin’ on a Fence」の映像を紹介しましたが、
この曲を聴いていて、ブライアンとキースのギターの絡み合いがいい感じだな~と思いました。

「It’s all over now」などを聴いていても思いますが、ブライアンの(特に初期の)キースと一緒のギタープレイは、
例えば先生と教え子がピアノの連弾をやる場合、
生徒に目立つ部分を弾かせて、自分はそのフォロー役になるといったようなものを感じます。

キースが奏でる音に、ブライアンの音はつかず離れず楽しそうに戯れているように思えます。

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なぜ、2人でギターを演奏しようとしたのか?

そんなことを思いながら、ブライアンとキースのギターの音を聴いていて、ふと思いついたことがあります。

――様々な楽器を演奏したブライアンが、ストーンズを始めたときに、ひとつのバンドでキースと2人でギターを演奏しようとしたのは何故なのか?

キースはストーンズのサウンドは、
「2本のギターがなくてはダメ」
だと、ずっと言い続けています。

事実、ストーンズにはずっと2人のギタリストがいます。

ブライアンが抜けたから、ミック・テイラーが抜けたから、キースが1人でギターをやる、というふうにはならないのです。

2人のギタリストがいるサウンドこそ、ストーンズのサウンドなのです。

そしてこの2人のギタリストで演奏する形を作ったのはブライアンとキース、というより、ブライアンでしょう。

自分だけでギターを演奏したいなら、ギタリストであるキースをメンバーに選ぶことはなかったはず。

しかしブライアンはキースをメンバーとして選び、2人でギターを演奏することにした。
更に、以前も紹介したイアン・スチュワートの証言。

「二人がやろうとしていたのは、ほかのバンドではやっていなかった。ギターを二本同時に演奏することだった。一本が主旋律を弾いて、もう一本がリズムを刻むのではなくて、キースとブライアンは二人がもっと一体になって、交互にリードをとって、ソロも交代でやって、渾然一体にしようとしていたんだ」

そうです、
2人のギタリストというより、ブライアンとキースは2人で1人のギタリストだったのです。

話は戻りますが、そこで浮かび上がってきた疑問。

何故、ブライアンはギターを演奏したのか。

ブライアンがギターを演奏した理由は?

というのは、ギターじゃなくても、ブライアンには他に演奏できる楽器があったのです。

例えば母親がピアノの先生だったので、幼少時からピアノは弾いていたし、クラリネットやサックスなどの”吹く”楽器も演奏していたはずです。

アレクシス・コーナーは、
”ブライアンは自分のバンドに入りたがっている様子だったが、既にバンドにはギタリストがいたため、ブライアンを入れることはできなかった”
と話しています。

やはりブライアンは当時、ギターでバンドに参加したかったようです。

何故、ギターじゃなくちゃダメだったのか?

と考えていて、思いついたこと。

――ブライアンはブルースがやりたかったから。

ブルースについて詳しくはないのですが、たぶんブルースといえばギターというイメージだったのではないでしょうか。

ボトルネック(スライド)ギターに象徴されるように。
それとハーモニカ(マウスオルガン?)。

ブライアンはミックとキースと同居していた頃、ハーモニカもマスターしたということですし。

ギターを演奏したいブライアンが同じギタリストであるキースをメンバーに選んだのはなんででしょう。

余程キースの人柄に惚れこんだのか。

または、当時ギタリストとして未熟だったキースを入れて、
自分もギターを手伝って、
キースが慣れてきたらギターはキースに任せて、自分は他の楽器も演奏したいし~、と思っていたのか。

2本で1本のギターである演奏は魅力的

動機はなんであれ、出来上がった「2本で1本のギター」といえるようなサウンドはとっても魅力的です。

ミック・テイラーとロン・ウッドとの演奏については、ほとんど聴いたことがないので比較できませんが、
ブライアンとキースの「2本で1本のギター」の演奏は素晴らしいです。

この形がストーンズのサウンドといえるものになっているというのは、やはりブライアンの魂はずーっとストーンズの中で生きているっていうことですよね。

というところで、ブライアンとキースのギターの演奏を聴いてみましょう。

「No Expectations」
「BEGGARS BANQUET」part2で、龍之介さんが、
「何かが彼に降りてきたのかもしれない」
と、この時のブライアンの演奏について語っています。

「ロックンロール・サーカス」のブライアンは痛々しいですが……、
聴いてみましょう。
繊細な音が、心に響きます。

The Rolling Stones – NO Expectations 1968 Demo


駅まで俺を連れて行って
汽車に乗せてくれ
もう二度と ここには来ないよ
かつて俺は金持ちだった
今は貧乏人さ
だけど今まで
こんな気持ちを味わったことはない

※その後、この映画を観て、ブライアンがギターやハーモニカを演奏した気持ちがわかったように感じました。