一番後ろがイアン・スチュアート
前回のブログで、書きました。
「ブライアンは最後までアンドリューの商業路線にはなじめなかった」
という証言を見かけます。
ブライアンはやりたい音楽にこだわりがあったから……、と思っていたのですが、考えていて、ちょっと待って、と思いつきました。
「やりたい音楽にこだわることを、ブライアンは既に手放していたのでは?」と。
今回はブライアンの選択を責めるようになってしまうかもしれませんが、ブライアンの音楽人生における”ブレ”について綴ります。
ブライアンのブログを書きながら、ブライアン・ジョーンズフリークの皆様と一緒にブライアンの気持ちを考えてみたいという想いがあります。そこにはブライアンのみならず、私たちが生きていくためのヒントもある。
「ブライアンは自滅したクレイジーなヤツ」というように言われることもあります。でも、もしも自分がブライアンの立場だったらどうしてた? ブライアンの生き方はそんなにハチャメチャでクレイジーだったのかな?
もしよろしければ、ブライアンの気持ちに重ねて、自分だったらどうしたかなと考えていただけたらと思います。
Contents
初期メンバーのイアン・スチュアートをクビにする
以前にも書きましたが、アンドリューがマネージャーになり、ストーンズを売り出した時点で、初期メンバーだったイアン・スチュアート(通称スチュ)がクビになりました。
スチュのピアノの音を聴いたとき、ブライアンは即、メンバーにすることを決めたといいます。
しかし、アンドリューがマネージャーになり、スチュをメンバーから外すことになります。理由は、「6人じゃ多すぎる」「(スチュの)ルックスがストーンズには合わない」。
当時、リーダーだったブライアンはクビをスチュに告げました。
ブライアンのガールフレンドだったリンダ・ローレンスの証言↓
「スチュはブライアンを憎んだでしょうね。だってちょうど有名になりはじめた頃にステージを降ろされたんですもの」
本当に。
ストーンズをブライアンと共にゼロから生み出し、これからだっていうときにメンバーから外されたスチュはどれだけ傷ついたことでしょうか。
しかも、一緒にがんばってきたブライアンからクビを宣告されるなんて。
さらにしかも、理由がルックス……、ひどすぎる……。
ブライアンがスチュをクビにしたときの心境
ブライアンはスチュをクビにすることを心苦しく思わなかったのかということ。
以前も書いたのですが、もちろん心苦しさ、うしろめたさはあったと思います。
では、何故、ブライアンはスチュを外すことをOKしたのかといえば、「自信を失っていたから」。
音楽についての自信というより、ストーンズを売ることについての自信。
ブライアンなりに必死にやってきたけれど、イマイチ売れない。ところが、アンドリューに任せたら、ぐんぐん売れ出した。
キースの証言↓
「ブライアンはけっしてアンドリューを好きにはならなかった。だけど、アンドリューがほかのどんなやつよりもストーンズにとって助けになってくれる人間だということは、やつにもわかっていたんだ。プロモーションに関するかぎり、アンドリューはまさに的確なタイミングで適切な手を打っていたよ。そしてそれは確実に効果を生んだ。計画を練ってというわけじゃないんだが、だたやつのひらめきのとおりにすべてうまくそうなるんだ。それでアンドリューはうちとけ合った存在ではないまでも必要な人間なんだという事実を、ブライアンもがまんして受け入れざるを得なかったのさ」
ストーンズを売ることに自信を失っていたブライアンには、アンドリューの言う通りにすることが正しい選択に思えた。だから、スチュを外した。だって、なにがなんでも売れたかったから。音楽で生きていきたかったから。
でもそれは「やりたい音楽」を放棄したこと
これも以前、書きましたが、私にはスチュを外すことにOKしたのは間違いだったのではないかと思えます。
ブライアンのやりたい音楽とはなんだったのでしょう?
やりたい音楽をするためには、誰とやっても同じだったのではなく、プレイヤーにもこだわりがあったはずではないでしょうか。
ミュージシャンにとって一緒に活動するメンバーや使う楽器は、魂のようなものではないですか? 自分の心の中にやりたい音楽はあるのだとしても、それをどう表現していくかは、メンバーにかかっているのではないですか?
こだわりがあったから、ブライアンはメンバー選びをイチから自分で始めたんですよね。
音を聴いて、即メンバーにすることを決めたスチュを外した理由がルックス。
これが、音楽的な理由だったら話は別です。
そこで、ブライアンのやりたかった音楽について考えていて、思いつきました。「ブライアン、スチュを外した時点で、自分のやりたい音楽を放棄してるよ」って。
放棄したのに、やりたい音楽にこだわるのは、ブレてる。
私はブライアンファンですが、敢えてきつく言いますね。「ブライアン、あなたはスチュをクビにしたことで、魂を売ったんじゃない? 音楽にこだわるのなら、売れるためのその選択は、間違いだったんじゃない?」
魂は売ってはいけなかった。一緒に夢を追う仲間は、何よりも大切にしなければいけなかった。
やりたい音楽ではないと不満をいう資格
ブライアンは、アンドリューとミックとキースを相手に、音楽性についてやりあっていたといいます。
バンドを始めたころは、自分がリーダーシップを握り、ストーンズで演奏する曲選びもやっていた。
しかしだんだん音楽的な方向性がズレてきた。
ブライアンは、いつしか3人を相手にやりあうことをあきらめたという証言があります。
今回、私が書きたかったのは、ココです。
いやいや、「やりたい音楽と違ってきているってやりあったというけれど、ブライアン、そもそもあなた、やりたい音楽を放棄したじゃない。売れたいがために」
やりたい音楽を一緒にやってくれる仲間、スチュを切ったでしょ。それは売れたかったからでしょ。
だったら、アンドリューが売れるであろう方向性でやっていることに従うべき。反対に、やりたい音楽を貫きたかったのなら、スチュを切ってはダメだった。
ブライアンはわかっていたと信じたい
……ブライアンを責めるようなことを綴ってしまいました。
でも、頭が良かったブライアンは、私が責めたような内容、わかっていたのではないかとも思います。
わかっていたから、アンドリュー、ミック、キース相手にやりあうことをあきらめた。
ストーンズは「売れる音楽をやるバンド」として、とらえていようと。音楽にこだわりは持ち続けているけれど、ストーンズに過剰な期待はしないようにしようと。
気持ちを抑えて、バンドに貢献する道を選んだ。
そして、いつかストーンズを離れ、自分がやりたい音楽を奏でることを考えていた。
ブライアンは、今を生きている私たちに教えてくれているのかもしれません。魂を売るようなことはするなって。
レアなスチュのインタビューです↓
ブライアンのことも話しているけれど、英語力が……;