初めに、最近お気に入りの音楽
MODEAの演奏する音楽は大好きだけど、3人それぞれが奏でる音も素晴らしい。
グループとしてのライブもいいけど、それぞれの活動、ソロ演奏も聴いてみたいなあと思っていて――、
行ってきました♪
今回はピアノの田中葵さんのライブ。
あ、ソロではありませんでした。チェロの大谷雄一さんとのディオライブでした。
クラシックのライブでしたが、もう、ホントに、ステキで、一曲目から気付いたら涙でした。
田中葵さんの軽やかで優しい音色は元々好きだったのですが、大谷雄一さんのチェロの音色も素晴らしくて!
チェロのソロ演奏を聴いたことがなかった私は、
「へ~~~~、チェロってあんな音が出るんだー」
と興味津々。
教会でのライブだったのですが、神聖な雰囲気の中に伸びやかな音色が広がって、とても気持ちよかったです。
よく表現者の方が、
「なにかが降りてくる」
と言いますが、教会での演奏ということもあってか、本当に何かが降りてきていて、演奏者の感性とテクニックを通して、降りてきている何かが音になっている、という感じがしました。
不思議な感覚だけど、清らかな空間だった~。
また機会があったら行きたいです。
Contents
ロン・ウッドの最近
さて、自身の浮気問題で離婚したばかりのロン・ウッドが21歳のガールフレンドと別れ、その上、ストーンズからもクビになりそうだという話が飛び交っています。
私は今更、ロン・ウッドをクビにしたりはしないと思うのですが。
ただ本人の身体のためにも、アルコール問題はどうにかしないといけませんね……。
と、ロン・ウッドの話はおいといて、このブログでは、やはりブライアンに触れていきましょう。
ブライアンに関しての話で、クビの話といえば。
デビュー前、一緒にメンバーとして活動していたイアン・スチュアート。
写真左がスチュ
初期ストーンズのメンバーだったスチュ
スチュ(イアン・スチュアート)のピアノの音を聴いたとき、ブライアンは即、メンバーにすることを決めたといいます。
しかし、デビューにあたり、マネージャーとなったアンドリュー・オールダムは、スチュをメンバーからはずすことを決定します。
理由は、「6人じゃ多すぎる」「(スチュの)ルックスがストーンズには合わない」。
当時リーダーだったブライアンはスチュにそのことを告げました。
即ち、クビ宣告です。
スチュは怒りをブライアンへの恨みに変えます。
スチュがふてくされていると、ブライアンが、
「気にしないでくれ、君はストーンズの一員だよ。常に君は6人目のストーンズなんだから」
となだめたそうです。
スチュは、「くだらない」と思って無視していたそうですが。
当時のブライアンのガールフレンドだったリンダ・ローレンスは、
「スチュはブライアンを憎んだでしょうね。だってちょうど有名になりはじめた頃にステージを降ろされたんですもの」
と語っています。
スチュはその後もバンドと一緒に行動し、時にはロードマネージャーになり、演奏にも参加しましたが、”ストーンズのメンバー”ではなくなりました。
キースはそんなスチュを「器が大きい奴」と評価していますが、スチュ自身は「単におもしろそうだったから、一緒にいたんだよ」というような発言をしています。
そこで考えてみます。
ブライアンは自分がその才能を認めたメンバー、スチュをクビにすることを心苦しく思わなかったのでしょうか。
必死に売り込んだが結果が出なかった
ブライアンの心境を考えるのに、そこに至るまでのことが参考になると思います。
ブライアンはメンバーを集め、バンドを作り、ブライアンなりに必死に売り込みをしました
が、すぐに注目をあびたわけではありませんでした。
ブライアンは次のように語っていたそうです。
「マディ・ウォーターズのレコードをかけながら俺たち3人でしゃべった時のことを覚えているよ。俺たちのやってる音楽はまちがっていないのに、まともな仕事がないんだったら、ちょっと今やってる音楽のことは忘れたらどうだろうかと考えたんだ。たぶん俺たちは失敗だったんだろうと。結局俺たちはたいしたことをしてなかったんだ、ただ丸1年間、音楽を学んできただけだったんだってね。だからもう限界だろうって考えたよ。もし俺たちが完全に失敗だったとしてもそれでいいじゃないか。少なくとも挑戦はしたんだから」
キースにもブライアンにも、ストーンズの将来は暗いように思えたそうです。
以下、キースの証言です。
「62年の時点で、ブライアンも俺もリズム・アンド・ブルースをやってきたのは完全に失敗だと思ったよ。でも俺たちは、それをやめてしまおうとは思わなかった。で、2人でエヴァリー・ブラザーズものをやろうとして、3~4日ほどキッチンでああいったひどい歌を練習した」
ブライアンはとにかく音楽で成功するために必死だったのです。
メンバーの中でただ一人、ブライアンだけがプロになるのに本気だったという話もあります。
ブライアンには音楽しかなかったから、なにがなんでも音楽で成功したかったのです。
でもどんなに必死にやっても認めてもらえない、
”もう限界”とまで追い詰められたものの、頭のいいブライアンは「音楽は間違っていないのにわかってもらえないのは、やり方が悪いのかも」と気付くのです。
敏腕マネージャー、アンドリューの登場
そこに現れたのが、商売の才に長けていたアンドリュー・オールダムです。
「君らをスターにしてみせるぞ」
とアンドリューは言い、彼の戦略によって、ストーンズは成功への道を転がり始めます。
しかし音楽に対して純粋主義のブライアンは、ストーンズを売り込むことだけを考えているアンドリューとは意見が合いませんでした。
再びキースの証言。
「ブライアンはけっしてアンドリューを好きにはならなかった。だけど、アンドリューがほかのどんなやつよりもストーンズにとって助けになってくれる人間だということは、やつにもわかっていたんだ。プロモーションに関するかぎり、アンドリューはまさに的確なタイミングで適切な手を打っていたよ。そしてそれは確実に効果を生んだ。計画を練ってというわけじゃないんだが、だたやつのひらめきのとおりにすべてうまくそうなるんだ。それでアンドリューはうちとけ合った存在ではないまでも必要な人間なんだという事実を、ブライアンもがまんして受け入れざるを得なかったのさ」
なにがなんでもプロとして音楽をやりたくて、精一杯やってきた、でも世間は認めてくれなかった。
自分たちのやり方には何かが足りない、何かが間違っていると思っていたところに現れたのがアンドリューで、確かにアンドリューの打つ手はすべて成功した。
――だから、ブライアンはアンドリューの言う通り、スチュをはずすことにも従ったのではないでしょうか。
アンドリューの意見を受け入れた理由
今まで自分が正しいと思ってやってきたことが実を結ばなかったのだから、ここは不本意であってもアンドリューの言う通りにすることが正解なのかもしれない、と、ブライアンは自分の選んできた方法が間違っていたのだと、自分の判断力に自信を失っていたのだと思います。
スチュに「君はストーンズの一員だ」と言ったのは、後ろめたさも感じていたブライアンの優しさだと思うのですが、スチュには恨まれるだけの結果になってしまいました。
後にブライアンがクビになった時、キースは、
「スチュをクビにした奴が、真っ先にクビを切られた」
と言っています。本当に言ったのかどうかはわかりませんが。
スチュをクビにしたのは、アンドリューでも、反対もしなかった他のメンバーでもない、ブライアンだということになってしまったようです。
なにがなんでも音楽で成功したかったブライアンがアンドリューに従ったのは間違いだったのでしょうか。
スチュがメンバーのままだったら、ストーンズは売れなかったのでしょうか。
この時のブライアンには、アンドリューに従うことがベストの選択だと思えたのでしょうけれど、私は信頼関係を築けている仲間を切るようなことはしないほうがよかったのではないかと思います。
他人事として考えれば、
「結果的に売れたんだから、よかったじゃん。綺麗事言ってたって、売れなきゃ意味ないし」
と言えるかもしれません。
でもブライアンの身になって、ブライアンにとって何がよかったかと考えれば、ブライアンの選択は間違いだったのではないかと思えるのです。
「あなたが欲しいのは、そういう成功なの? 本当にそれでいいの?」
と問いたいです。
友情なのか? 成功なのか?
スチュのプレイは素晴らしいのだ!
クビにしたとはいっても、その後もスチュはバンドと一緒に行動していたので、バンド内の人間関係は微妙に変わってきたといいます。
それまで仲が良かったブライアンとスチュは、当然のごとくギクシャクしてしまったのだと。
しかしルックスのせいでクビにされたスチュは、どんなに傷ついたことでしょうか。
その後アンドリューはブライアンよりも先にストーンズから離れていき、ブライアンはずっと、それこそ最期の時まで、アンドリューが始めた商業路線にはなじめないままだったと思います。
そして成功はしたけれど、ブライアンはグループの中でも少しずつ浮いた存在になって、結局切られることになってしまったのです。
シタール奏者のヨシダダイキチさんが「シタールのほん」の中で次のようなことを書いています。
ヨシダさんはシタール・ター!というグループを組んでいるのですが――
まあ、このように、僕はいろいろなアイデアを提案しているのですが、実際の「シタール・ター!」の活動は、やっぱり集団になると揉め事も多く、紆余曲折しています。つい最近、一山越えたのでは(?)というところですが、本音は、こんな音楽的アイデアよりも、まず協調性とか性格の方が、もっと大事だということです。
要するに、そういうことなんだと思います。
スチュはクビになったけど、性格的にメンバーとうまくやっていけたからその後の活動も共にした。
亡くなった時にはメンバー全員が大きなショックを受けたほど慕われていた。
ブライアンがクビになったのは、もちろんドラッグ問題や体調の悪さなどもあったと思いますが、活動を続けていくうちに信頼を失い、メンバーと、特にキースと合わなくなってしまったから切られた。
いくらメンバー間の絆があったとはいっても、小さな信頼を失った穴は、いつまでもふさがることはなく、
クビ宣告決定にあたり、表からは見えにくい大きな原動力になってしまった……。
そう考えると、例え今、アル中で精神的にもボロボロになっていたとしても、ロン・ウッドはクビにはならないでしょう。ロンの方から辞めたいと言えば別でしょうけど。
もしくは、ミックが、というより、キースがロンに愛想を尽かしたらクビかもですね。そんな可能性は低そうですが。
同じグループで活動するということ、
方向性とか、アイディアよりも、まず、性格が合うのかどうか、信頼関係が築けるのかどうかが重要なのかもしれません。能力的なものは前提としてあると思いますが。
スチュの演奏シーン、見つけたー! 6人目のストーンズ、スチュは1985年12月12日に47歳で亡くなりました…。