「Ruby Tuesday」のリコーダーの音に心を重ねる

元々好きな曲でしたが、
リコーダーで「Ruby Tuesday」の練習をするようになってから、
更に「Ruby Tuesday」を聴く回数が増えました。

聴くときは自然にリコーダーの音に意識を集中させます。

楽譜はなく耳だけで覚えているので、聴いていると、
「あ、この音、間違ってた」
と気づくこともあります。

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リコーダーの音に心を重ねて初めて気づいた

今日は電車の中で聴きながら、特にリコーダーの音に集中して聴いていたら、
ふと、演奏をしているブライアンの心を感じられたような気がしました。

以前にも書きましたが、「Ruby Tuesday」のリコーダーの出だしは、まるで小鳥がさえずるかのように軽やかです。

そしてその後の音がのびるところは、鳥が羽を広げたまま遮るものがなにもない大空を渡っていくかのように自由です。

私はブライアンの音に合わせて練習をしているので、まるでブライアンに、
「初めは小鳥がさえずるように~、はい、次はゆったりと大空を渡るように~」
と指導されているような気持ちになっています。

この曲におけるブライアンのリコーダーの音は、優しく愛らしく、やわらかで自由です。繊細さゆえの物悲しさも少し感じられます。

少しも音を乱暴に扱ったりせず、高くなるところも低くなるところも、滑らかで最後の響きまでも優しく扱っています。

これらは自分もリコーダーを演奏してみて、あらためて気づいたことです。

Ruby tuesdayのクライマックス

そして今回新たに気づいたことですが、
あくまでも大らかに優しくゆったりと演奏してされている音が、抑えきれない感情を表すかのように盛り上がっていく部分があるのです。

リコーダーの音に心を重ねるような気持ちで聴いていたら感じられたのです。

やわらかく大らかな音が、少しずつ強く、突き刺すような響きを持ちます。

人を傷つけるようなのではなくて、切ないような、必死の訴えのような響きです。

実はこの部分、練習していて、私が戸惑った部分です。

力強くはじけさせながら、音が上下している、
単に息を強くしているというわけではない、
「こ、この音、どうやって出すの?」
って思ったのです。

今日、初めて私は気づきました。

この曲のブライアンの想い入れのクライマックスはここなんじゃないかって。

ここが、ブライアンの心が反映されているところなんじゃないかって。

「Ruby Tuesday」はミックとキースが作ったことになっていますが、ミックは、
「この曲作りに自分は関わっていない」
と明言しています。

となると、キースが一人で作ったかのようですが、ブライアンとキースが一緒に作ったというのはよく言われていることで、ブライアンは周囲の人に、この曲作りがいかに楽しかったかを語っていたといいます。

キースと一緒にいろいろな工夫を加えながら曲を作り上げていったことが、本当に楽しかったのでしょう。

でも、ブライアンの名はクレジットにありません。
つまりブライアンは手伝いはしたけれど、作詞も作曲もほとんどキースということ?とも思っていましたが、
私は今回、
「いや、ブライアンは作曲にももちろんだけど、作詞にも大きく関わっているのではないか」
とあらためて思いました。

ブライアン・ジョーンズが命がけで取り組んだ夢

ここで、「Ruby Tuesday」の歌詞(和訳)を見てみましょう。

彼女はどこから来たか 決して言わなかった
過去のことは過去
燦然と輝く太陽でも真暗な夜でも
誰も彼女の素性はわからない
彼女は行ったり来たりする
さよなら ルビー・チューズデイ
君の名前を呼ぶことが出来ない
君は日が経つにつれ変わる
それでも僕は君が居ないと淋しい

なんで彼女がそんなに自由が欲しいのか
聞かないでくれ
彼女が言うのは当たり前
彼女はありきたりの
可もなければ不可もない暮らしに 縛られたがらない
さよなら ルビー・チューズデイ
君の名前を呼ぶことが出来ない
君は日が経つにつれ変わる
それでも僕は君が居ないと淋しい

無駄な時間はないわ と彼女は僕に言った
夢が消えない間に その夢を実現させなくちゃ
死が間近いから 夢がなければ 気も狂う
人生は ままならない
さよなら ルビー・チューズデイ
君の名前を呼ぶことが出来ない
君は日が経つにつれ変わる
それでも僕は君が居ないと淋しい

君の名前を呼ぶことが出来ない
君は日が経つにつれ変わる
それでも僕は君が居ないと淋しい

そして、私がこの曲におけるブライアンのクライマックスと感じたのは下の↓動画だと2分18秒過ぎくらいのところです。

Dying all the time
Lose your dreams
And you will lose your mind.
Ain’t life unkind?

(夢が消えない間に その夢を実現させなくちゃ
死が間近いから 夢がなければ 気も狂う
人生は ままならない)


ブライアン・ジョーンズを支えていたもの

ブライアンは喘息もちでした。
喘息の発作は、体験者にしかわからないのだと思いますが、死の恐怖を伴うのだそうです。

ブライアンはその他、未診断ではありますが、記憶が途切れたりする症状がある側頭葉癲癇にも悩まされていたのではないかと言われています。

親との関係もうまくいかず、問題を起こしたために進学もできなかった、仕事に就いても長続きしない、体調にも悩まされていた、
そんなブライアンの夢とはなんだったでしょうか。

――音楽だったと思います。

何者でもない自分が、唯一自分を感じられるもの、それはブライアンにとって音楽だったのだと。

ブライアン自身、
「演奏している時以外に本当の自分を表に出すことはないよ。いいコンサートだと、その後何日も元気でいられるけど、ひどいコンサートだとがっくり落ち込むんだ。生きてることを実感するのは、演奏している時さ。自分を信じてるんだ」
と言っています。

ブライアンを支えていたのは、女性でもドラッグでもアルコールでもありません。

ブライアンの支えは音楽だった、
好きな音楽を奏でること、その音を伝えること、音を通してコミュニケーションをとること、
それこそがブライアンの支えであり、ブライアンそのものでした

根っからの音楽人間だったのだと思います。

心静かに、ブライアンの音に心を重ねてみてください。
本当に、ブライアンの心に触れられたような気持ちになれると思います。

レコーディングは歌と演奏、別々に録るのかもしれないし、
ライブの音源を聴いてみると、もっと自由にアーティスティックな感じで楽しそうに演奏しているんですけれどね^^