ブライアン・ジョーンズな日々 part3

カラー写真で見ると、ブロンドの髪が絹の糸のようにキレイなことに気付き、ウキウキしながら描いていたのですが、描いているうちに似ているのか何なのか誰なのか、わけがわからなくなりました;;
ごめんね、ブライアン……

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part2で、私が思うブライアン・ジョーンズを表すキーワードをいくつかあげましたが、追加します。

「快楽主義者」、
そして「負けず嫌い」。

好きなことには一生懸命になる、でも興味ないこと、つまらないことには見向きもしない、というタイプだったように思える。

だから退屈でお堅い実家での生活には耐えられなかったのだろうし、興味のない仕事に就いてもすぐに辞めてしまったのだろう。

でも好きな音楽の道を突き進むパワーは強く、夢の実現へと自らを導くことができた。

ドラッグやアルコール、派手な女性関係も快楽のため。

独特のファッションセンスも型にはまらず、自由に服装を楽しむ感覚からきているように思える。

(つくづく白黒画面が多いのがもったいない。金髪にカラフルな服装が似合っていて、カラーで見たほうが絶対彼の良さが伝わってくるのに)

辛いことに直面すると、黙々と耐える、なんてことは出来なくて、逃げ出すか、誰かに泣きつくかしてしまう。

自分の要求が通らないとカーッとなって、突飛な行動に出る。

彼のことを何人かの人が、

「とてつもなくイヤなヤツだった。でも反対にいいヤツでもあった」
と証言しているが、自分に害を与えない人たちには基本的に穏やかに接するけれど、一旦感情のコントロールが出来なくなるとイヤなヤツになってしまう、って感じだったのではないだろうか。

ストーンズがデビューした初期の頃の映像を観ると、ブライアンの生き生きとしていること!

夢が実現して、嬉しくて楽しくてたまらなかったのだろう。

何かと問題が多かったブライアンだが、ストーンズ在籍末期にはレコーディングにも現れない、来てもまともに演奏出来ない、という状態だったらしい。

メンバーとの確執、最愛のアニタとの別れ、ドラッグのことで警察に追い回される、精神的な病気など様々なことが彼を痛めつけていたのだろうが、そんな時だからこそ、仕事(音楽)だけはきちんと取り組まなければいけなかったのに。

こんな態度をとったことで、彼はすっかりバンドのお荷物になってしまう。

ピアノ、ギターはもちろんのこと、シタール、ハープシコード、マリンバ、ダルシマー等々を自在に操り、音楽的貢献度は高かったのだから、演奏が出来ないような状態になってしまわなければバンドから追い出されることもなかっただろう。

……いや、どちらにしても彼をはじき出そうとする力は根深く、結局は追い出されることになってしまった、かな。

愚痴ばかりを言うブライアンに、今は亡きジョン・レノンが忠告したそうだ。(ジョン・レノンはミュージシャンとしてのブライアンを高く評価していた)

「こんな状態にしてしまったのは自分のせいだろ。この仕事で生きていくには、もっとタフにならなきゃ駄目なんだ。ストーンズから追われたっていいじゃないか。きっぱりやめて、新しいバンドをやれよ。男らしくさ」
(「悪魔を憐れむ歌」、トニー・サンチェス著より)

ブライアンも頭のいい男だ。

立ち直ろうとは何度もしたのだろう。

しかしそういう時にタイミング悪く、ドラッグで逮捕されてしまったりして(最後の逮捕に関しては、ハメられたらしい)、元々ナイーブな彼は精神的にますます追い詰められることになってしまう。

ブライアンと他のメンバーの距離も、広がっていくばかりだった。

そこまでバンド内で除け者にされ、辞めるしかない立場に追いやられながら、何故彼は自分から辞めると言い出さなかったのだろう?

(1)「ローリング・ストーンズはオレが作ったオレのバンドだ!」という気持ちが強かった。

(2)自分から辞めるなんて相手の思うツボ。思い通りになんかさせるもんか!

(3)またそのうちメンバーともいい関係に戻れるだろうと思っていた。

(4)そんな状態でもバンドのメンバーでいることが心地よかった。(一人になるのがイヤだった)

「ローリング・ストーンズ」は何も無いところから彼が作り上げたバンドといっても過言ではない。

バンドに対する執着もあっただろう。

それと彼特有の甘えがあったのかもしれない。

「こんなに辛い」ってことを、問題を起こすことでアピールして、誰かにどうにかしてもらいたいと願っていた。

でも現実は甘くはなくて、彼が問題を起こせば起こすほど、”役立たず”扱いされるようになってしまったのだ。

ミック、キース、チャーリーがクビを言い渡して帰った後、一人残されたブライアンは泣き崩れたという。

本に書かれていること全てが真実ではないとしても、これは本当だったのではないかと思える。

愛する女性を失い、そして自分が作り上げたバンドを失った。

彼が支えにしていた大切なものは全て彼の元から奪い去られてしまったのだ。

ブライアンの最愛の女性アニタが、せめてドラッグをやらない人だったら、もしかして違う結果になったのかもと思う。

アニタの雰囲気や強さ、頭の良さ、一筋縄ではいかないようなところがブライアンの心をつかんでいたのだろうが、彼女と付き合うことによって、ブライアンはますますドラッグ漬けになってしまった。

黒魔術をする女性でもいいけれど(いや、正直言うと、それもどうかと思うけれど)、せめてドラッグだけはやらない女性だったらよかったのに。

そうは言っても、亡くなる前、コッチフィールドで過ごすブライアンは少しずつ健康と自信を取り戻していたようだと言われている。

新しいバンドを作ることに前向きになっていたと。

しかし彼の死の刻は確実に近付いていた。

――1969年7月3日、自宅のプールで溺死。

実際のところ、なにがあったのかわからない。

「ドラッグとアルコールによる溺死」と発表されたが、彼はこの頃ドラッグはやめており、体内に残されていたアルコール量も死に至らしめるほどのものではなかったという。

彼を知る人たちは、
「泳ぎが得意な彼がおぼれるなんてありえない!」と言っている。

↓↓これより先しばらくは私の勝手な推理です。↓↓

2日後にはストーンズのライブ(ブライアンの後釜に入ったミック・テイラーお披露目ライブ)が予定されていた。

タイミング的にも、本当に事故だったのだろうかと思ってしまう。

私は最初、ふとこう考えた。
「彼は積極的に死にたいとも思っていなかったかもしれないが、積極的に生きようとも思っていなかったのではないか」

それまで打ちのめされてきた傷も癒えず、これから先の不安もあり、周りからは前向きな様子に見えてはいても、彼の心は揺れ動いていたのではないか。

その日、彼はアルコールと睡眠薬を飲んでいたという話もあり、いくら泳ぎが得意といっても、そんな状態でプールに入ること自体、自殺行為だ。

つまり、「もし水の中で眠って溺れてしまうことになろうと、どうなってもいいや」というような気持ちだったのではないかと。

しかし、彼は打ちのめされて弱っていたとは言っても、ストーンズを作り上げた強さをも持っていたはずだ。

彼の内にあった強さを信じたい、と思った。

彼はこれから先を見据えていたはず。

この時点で、自暴自棄になんてなってはいなかったはずだ。

そして、ある不可思議なことに関心を持った。

その晩、一体彼は誰と過ごしていたのか。

映画「ストーンズから消えた男」や、一部の本などでは、ブライアンはその晩、ガールフレンドのアンナ、看護師のジャネット、(改装中だったため同居していた)建築業者のフランクの3人と一緒に過ごしていたことになっている。

しかし別の証言では、その晩、屋敷ではパーティーが開かれていて、多くの人たちと一緒に過ごしていたと言われている。

どちらが本当なのか?

使用人のメアリという女性(彼女はブライアンはとっても親切なボスだったと言っている)が、その日のブライアンは朝からとても具合が悪そうだったと証言している。

持病の喘息のためだ。

彼はやっとのことでメアリに「今晩は客が来て、泊まっていく」と伝えた。

しかし翌日になってみたら、彼は亡くなっていて、客が来た痕跡もなかった。

その場にいたとされる、3人(アンナ、ジャネット、フランク)の証言は微妙に食い違う。

その時、誰がなにをしていた、とか、時間的なこととか。

ブライアンが溺れているのを見つけて、すぐに助けを呼んだはずが、救急車(警察)が来るまでの謎の空白の時間があったとも言われている。

こんなふうに勝手に推理してみてもなんにもならないことはわかっているけれど、それでも自分なりに思いをめぐらせてみた。

その日は一部の証言にもあるとおり、パーティーが催されていたのかもしれない。

ブライアンはホストとして張り切り、いつものようにアクロバット的なこともやった。

そこで事故、あるいは事故に限りなく近い事件がおきてしまったのではないか。

ふざけているつもりが、死につながるようなことになってしまったか、またはブライアンが溺れているのに誰も気付かなかったか。

――彼が最期に見たのは、どんな風景だったのだろう。

彼が作ったローリング・ストーンズは未だに活躍している。

死後40年近くになろうとしているのに、彼が奏でる音楽に心躍らせる人々が世界のアチラコチラにいる。

彼の苦しそうな人生に涙するだけではなく、彼が遺してくれていったものに少しでも多く触れていきたい。

生前の彼が、口論の末に堀に飛び込んでしまうようなクレイジーな面を持っていたのだとしても……、
それでも、大好きだよ、ブライアン。