命がけで取り組むということ

先日、お世話になっているミュージシャンの方が入院したということを知った。

状況も症状もわからず、

お世話になっているとはいっても、大変な時に、連絡を取るほどの近い身内関係ではないので、

気になりつつ、過ごしていた。

「集中治療室にいるけれど、回復に向かっている」

という情報を目にして、

集中治療室に入るほどの症状だったんだ……、

と思うと同時に、その方がよく、

「命がけで音楽やってる」

と発言しているのを思い出して、胸が熱くなって涙が出てきてしまった。

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持病がある人の気持ちがわかるとは言い切れない

今回の入院の理由はわからないけれど、その方の持病のひとつに喘息があったと思う。

喘息の怖さ。

喘息持ちではない私には、「その気持ちがわかる」なんて、言えない。

でも、それがとても怖いものであるのだと、想像はできる。

以前、勤めていた会社の上司が喘息持ちだった。

体が大きくて豪快な男性なのに、

「これ、吸いすぎる(飲みすぎる)と、死んじゃうんだよ」

と言いながら、体に負担がかかる喘息の薬を吸入器で、ひんぱんに吸い込んでいた。

部下の男子たちに、

「そういうの、やめてくださいよー」

と言われても、やめなかった。

喘息の発作の恐怖。

そこから逃れるために、とりすぎると体に悪いとわかっていても、多めに薬をとらないといられなかったのだろう。

ブライアン・ジョーンズも、喘息持ちだった。

彼にはほかにも未診断の持病があったと思われるのですが、喘息の発作の恐怖と戦っているだけでも、精神的に大きな負担を抱えていたと想像できる。

私が、ブライアン・ジョーンズのリコーダーが素晴らしいこともあり大好きな「ルビーチューズデー」の歌詞。↓

Dying all the time
Lose your dreams
And you will lose your mind.
Ain’t life unkind?
(夢が消えない間に その夢を実現させなくちゃ
死が間近いから 夢がなければ 気も狂う
人生は ままならない)

喘息の発作の恐怖と戦っていた、ブライアンらしい歌詞。でも、クレジットにはブライアンの名前はなく、ミックとキースの曲になっているのですが。

「Ruby tuesday」については、コチラ↓の記事で書いています。

持病を抱え、発作の恐怖と戦っていたからこそ、「夢(音楽)」を命がけで追っていた。「夢(音楽)」が支えだった。

真摯に音楽に向き合う姿勢

音楽をやっている人たちの中には、いろいろな考え方の人がいる。

別に説教をするつもりはない。

自分が正しいとも思っていない。

私が応援しているミュージシャンの中には、お酒が大好きだけど、ライブの前は酒断ちをするというくらいの気合で臨んでいる方がいる。

全員が、酒断ちをするべきだとは思わないけれど、その気合、真摯な姿勢は尊敬する。

ある音楽をやっている人に、

「ミュージシャンの中には、命がけでやっている人もいるんだよ」

と言ったら、

「なんかカッコ悪い」

と返ってきた。

いろいろな姿勢や考え方があっていいと思うけれど、

「おまえこそ、カッコ悪い」

と言い返したい。

命がけな心を「カッコ悪い」という、その程度の気持ちでやるのなら、お金をとるライブなどやる必要はない。

お金を払い、時間を使い、そこに足を運ぶお客様の気持ちを少しも尊重していない。

誰かの姿勢を否定するほどエライ人間ではないですが、真摯な姿勢を「カッコ悪い」と言い放ち、お客様の気持ちや時間を尊重できない人は、どこか音が漏れない場所で、静かにやっていてください。

命がけで何かに取り組むということ

命がけで、何かに取り組んでいますか?

そこまで考えたことがない人も多いでしょう。

私自身、やっていることには精一杯の気持ちで取り組んでいますが、「命がけ」かと言われると、即答はできない。

どうだったら「命がけ」といえるのだろう。

だから、すべての人に、すべてのことに対して「命がけ」になったほうがいいとは提案しない。

でも、何かに「命がけで取り組んでいる」姿勢を絶対に軽く見ない、称える気持ちを持っていたい。

そして、できることなら手を貸せる心構えでいたい。

入院されているミュージシャンの方には、やさしく声をかけていただいて、イベントに参加したばかり。

また、すぐに会えると思っていたけれど、でも焦らずにゆっくりと療養して元気になられますように。

音楽は逃げない、夢は逃げない、誰も何も逃げないから。