「ロック・スターの女たち」アニタ編

マリアンヌ・フェイスフルのDVDを観ていたら、マリアンヌがミックと交際していたことについて、次のように語っていました。

「”ロック・スターの女”でいたかったわけじゃないわ。
彼を愛してしまったの。
取り巻く環境が違っていたら、金の鳥かごにいなかったら、幸せだったのかも。
お金はあっても自由はない生活だった」

”ロック・スターの女”というフレーズにピンときて、取り出してきたのは、「ロック・スターの女たち」(ヴィクトリア・バルフォア著、音楽之友社)

この本には、ロック・スターと付き合っていた女性たちのインタビューが載っています。

ブライアンと付き合っていた女性で登場するのは、リンダ・ローレンスとアニタ・パレンバーグです。

今回は、アニタのインタビューについて、書きます。

マリアンヌのブログの続きを書きたいと思っていたのですが……、後日にします。
(ちなみに、この本にはマリアンヌのインタビューは載っていません)

「馬鹿女さ。今でも愛してるけど、一緒には住めないね」

『The Early Stones』という写真集の中で、キースのアニタについてのコメントが印象に残っている。

”馬鹿女”っていうのは、きつ過ぎる表現としても、なんとなくアニタをよく表しているような気がして。

アニタ自身、自分のことを、
「私って、どうも落ち着きのないタイプらしくって、しょっちゅうみんなをイライラさせちゃうの。だから、たまに一杯だけ飲んで落ち着くようにしているわ」
と言っている。そして、
「いつも誰かを愛していないとだめなの。それが私の原動力だからよ」
と言う。

アニタ・パレンバーグは第二次世界大戦のさなかにローマで生まれた。

ミュンヘンのアート・スクールに通っているときに男に強姦されそうになり、すっかり男嫌いになったという。(アニタはバイセクシャル)

19歳になり、男性恐怖症から回復したアニタは、後にマリアンヌ・フェイスフルと付き合うことになるイタリア人のアーティスト、マリオ・スキファーノと付き合う。

マリオと別れた後、イタリア人カメラマンのところで働くようになり、モデルの代わりを務めたりするうち、フルタイムのモデルとして働くようになる。

1965年(9月)、ミュンヘンでコンサートをしたストーンズの楽屋に入り込み、23歳のブライアン・ジョーンズと出会う。

その後、数ヶ月間に渡って、アニタとブライアンはヨーロッパのあちらこちらで落ち合い、デートを重ねたそうだ。

しかし、アニタは言う。

「ブライアンって人は、本当にひどい人だったわ。でも私はがまんした。なぜって、彼の才能にまいっていたからよ。私がなぜ最初にブライアンとつき合い、次にキースとそうなったかっていうと、彼らの音楽の才能のせいよ。でもその副作用といったら……。ブライアンはノイローゼになっていて、ひどく不安定だったわ。私が会った頃からすでに病気だったの。完全に誇大妄想狂だった」

2人は口論ばかりし、その原因はアニタの仕事だったという。
アニタ曰く、

「ブライアンは私が働いていたのが気にくわなかったのよ。ある時、私が分厚い台本を抱えて家に帰ると、彼はその台本を真っ二つに引き裂いたわ」

アニタは「A Degree Of Murder」の主演を勝ち取り、ブライアンを説得してその映画の音楽を作らせた。

「映画は成功したわ。カンヌ映画祭まで行ったのよ」

(アニタと付き合ったおかげで、ブライアンは映画音楽をつくることができたわけなので、その点ではブライアンファンとして、アニタに大きな大きな感謝☆)

しかしブライアンの暴力に耐えかねて、アニタはキースの元へ走ったのだと言う。

私のアニタに対するイメージ。

  • 常にテンションが高い。
  • 言いたいこと(頭に思い浮かんだこと)は、相手が傷つこうがなんだろうが、バンバン言う。
  • つまり率直で、ストレート。
  • 大胆で威圧的かと思うと、女性的なか弱さを垣間見せる。
  • 繊細というよりは、大ざっぱで開放的。
  • 愛される美しさを持っていながら、それが時に毒にもなる。

確かにアニタは奇麗だし、魅力的な女性だと思う。

だけど、ブライアンとの相性という面ではどうだったのだろうか。

繊細なブライアンは、常にテンションが高いアニタに言いたいことを言われて、傷つけられたりしなかっただろうか。

*****ここから先しばらくは、私の勝手な解釈です******
果たして、ブライアンはアニタと付き合っているとき、幸せだったのだろうか。

アニタの言うとおり、2人はよく口論をしていたのだろう。

ブライアンは、
「アニタとの仲がうまくいかない」
と落ち込んでいたこともあるという。

親友のロニ・マネーに泣きついたこともあったという。

最愛の人と付き合いながら、どうして?

今回、考えていて、あらためて思った。

――アニタのような大胆な女性は、とてもブライアンの手には負えなかったのではないだろうか、と。

それなのに何故、ブライアンはアニタと付き合っていたのか。

何故、どうにかうまくやっていこうとしていたのか。

もしかして、答えは「ローリング・ストーンズ」なのかもしれない。

ブライアンは、”ストーンズは俺にとってなくてはならないもの”と語り、ビルは”ストーンズこそ、ブライアンの真の子供だった”と書いている。

リンダ(ローレンス)と結婚間際までいって別れてしまったのも、「ストーンズの一員であるためには、家庭人であってはならない」と言われて、そう思い込んでいたからではないのか。
(とはいっても、ビルもチャーリーも妻帯者だったのに)

ストーンズ内で、力を失いつつあったブライアンは、アニタと付き合うことによって、力を取り戻した。

「ヨーロッパ一美しいカップル」などと言われ、注目も浴びた。

アニタと付き合うことにより自信を得ることができ、元気になれた。

もしかしてブライアンが愛していたのはアニタ本人というよりも、アニタと付き合っている自分、という”スタイル”または”イメージ”ではなかっただろうか。

ストーンズを失わないためには、世間的なイメージを保ち、ミック&キースにもそれを見せ付けることが必要だったから。

状況に対処するために、「ドラッグとアルコールが必要だった」とブライアンは語っている。

売れた途端、名声に溺れて人が変わったようになったと言われているけれど、アニタと付き合う前のガールフレンド、ズズは、
「彼は自分が金持ちになったので物質的なものに不自由しないとか、自分が有名人であるからといって幸福ではなかったのよ……彼はいったい何で自分は有名なのか、何でカネがあるのか、ということを一生懸命考えていたのよ」
と話している。

また「Charlie Is My Darling」の中でブライアンは、
「覚悟している。将来の保証はなにもないからね」
と言っている。

もしも彼がスターであることに酔いしれ、その名声に溺れているような人間なのだったとしたら、
「将来の不安なんてないさ。俺たちはスーパースターなんだから!」
とでも、答えていたのではないだろうか。

彼はいつも不安を抱えていたのだと思う。

もちろん、快楽主義者でもある彼は、スターである立場をそれなりに楽しんでもいただろう。

でも心底楽しんでいたわけではないと思う。

ストーンズを失いたくなかった理由は、ストーンズは彼がなにもないところから作り上げた彼の”真の子供”であり、そこで演奏することによって彼は賞賛され、愛され、それが彼の存在を肯定することになったからだ。

ストーンズを失いたくないために、スターである状況を受け入れるためドラッグとアルコールに頼った。

言い争うばかりでもあったアニタと付き合うことで、グループ内での力を取り戻した。

しかしそれらは逆に彼からパワーを奪っていき、そして結局、そうまでして失いたくなかったストーンズを脱退することになる。

インタビューの中で、アニタは、”ドラッグに手を染めたきっかけは、淋しさと退屈さのため”と語り、しかし完全に自己破壊せずにすんだのは、”自分に自己管理能力があったから”と話している。

この本のインタビューでは、ブライアンを”ひどい人”だったと言い切っているアニタだが、前出の『The Early Stones』の中では次のように語っている。

「ブライアンはバンドから追い出されたっていわれてるけど、私はその逆だったと思ってるの。ブライアンはずっとリズム・アンド・ブルースに取りつかれてた。やめた理由はそれだけよ」
「とにかく変わり者だったでしょ。ストーンズがやってた『サタニック・マジェスティーズ』にもそっぽを向いてたし、”愛と平和(ウィ・ラヴ・ユー)”のヒッピー文化にも興味を示さなかったし」
「妄想症(パラノイア)の発作がひどくなってきたのに、ドラッグが病状を悪化させるだけだっていうことにも気づかなかったのよ。でもその頃にはアシッドは卒業してたから、アルコールと鎮静剤を飲むぐらいで、ヘビー・ドラッグには手をつけなかったわ。

~中略~

ブライアンはヘロインどころか煙草も吸わなかった。それよりも妄想症のほうがずっと問題だったのよ」
「生活が頽廃的になってきて、レベルの低い取り巻き連中にいいように利用されているのに、むくんだ顔をして謝ってばかりいたわ。あんな原始人みたいな連中にいつも囲まれてたら、妄想症の回復には役に立つわけないでしょう」
「でもしばらくして創作意欲が戻ってきたの。アレクシス・コーナーに誘われて、もうひとつちがうバンドとして、ブルースバンドを結成することになっていた。でも気力は戻っても、体力は完全に回復していなかったの。それからジョン・レノンからも一緒にバンドを結成しないかという話が来ていたのよ。その頃のブライアンはかなりいい状態になっていて、たまにワインを飲むだけだったし、二人とも”真っ正直だったから”、絶対うまくいったと思うわ。そんな時にブライアンがあんな形で死んだことがどうしても納得できないの」

少し疑問に思う発言もあるけれど、これがアニタから見たブライアンだったのでしょう。

煙草もやめていたのね、ブライアン……
健康を取り戻すためのプールであんなことに……、と思うと、虚しいやら悲しいやらの気持ちになってしまう。

この「ロック・スターの女たち」を読んで思ったのですが、あくまでもこれはインタビューにこたえている本人の見解であり、事実と異なっている部分も多いように思います。

ただ、インタビューにこたえている女性たちにとっての”真実”であるということです。

アニタはこのインタビューで、ブライアンについてよりもむしろキースのことを語っているのですが、個人的好みから^^;、ブライアンの部分だけを取り上げました。

この本が出たのは1986年ですが、アニタは、
「ストーンズは(優雅に)引退すべきだと思っていて」「女優としてカムバックする予定はないが、再び映画製作を手がけてみたいと考えている」

現在(2007年)、65歳のアニタ。

実はMySpaceというサイトで、アニタに”friend”承認してもらった私。実際に本人が運営しているのかわからないけれど。

マリアンヌにも承認してもらったけれど、これも本人が運営しているとは考えがたい。でも嬉しい。

最初の目的はBJM(brian jonestown massacre)のアントンにメッセージを送ることだったのですが。

アントンは、本人らしいです。承認もらった上、コメントまで頂きました! Love, anton!

……って、ブライアンに触れてからブログを締めないと!
Love, BRIAN!

更新報告はtwitterから!フォローお願いします!

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 十六夜 より:

    ご無沙汰してます。
    洋楽にまったく縁の無い私で、
    るか。さんのブログを読むまで、
    「ローリング・ストーンズ」って?
    って感じだったんですが・・・
    「パイレーツ・オブ・カリビアン」
    もう見られましたか?
    私は昨日見に行きました。
    ジョニー・デップが、ジャックの役を作る時、キースを参考にしたと言うのは知っていたのですが、「キースって誰?どんな人?」って思っていました。
    昨日の映画を観て、分かりました。
    キース・リチャーズと言う人も分かりました。
    改めて、るか。さんのブログを読み直してみようかと思います。
    他のメンバーのことは、まだよく分からないですが、「キース・リチャード」だけは、認識できましたので。

  2. るか。 より:

    お久しぶりです^^
    私こそ、ご無沙汰してしまっていて、すみません。
    私もブライアンにいきなりハマるまでは、ローリング・ストーンズは、名前くらいは知ってる、という程度でした。
    飽きっぽい私が、飽きずにハマり続けているというのは……、わからないものですね。
    「パイレーツ・オブ・カリビアン」はまだ観ていませんが、観たいとは思ってます。
    もしかして子供向きの映画?と思っていたのですが。
    キースは60年代は可愛かったのに(笑)変わりましたね~
    ブライアンのファンとはいえ、ブライアン側だけに立って見ていると、見えないものがあると思うので、キースのことも(ミックのことも)もっと知りたいと思っています。