ブライアンとミック・ジャガー part8

夏風邪をひきました……。
お盆休み明けの気のゆるみなのか、今書いてるブログの展開が重すぎるせいなのか。(たぶん少しずつ両方)

当時の彼らの気持ちを少しでも理解しようと、50%は入り込み、50%は客観的に、という感じで書いているので、重たい気分に影響を受けてしまうのも無理はないのかもしれません。

と、言いつつも書き続けますっ

あ、そういえば初めて「水タバコ」なるものを体験しました。

ブライアンが好きだったモロッコ、の水タバコ。(水パイプ、水キセルともいう)

普段タバコも吸わず、しかも風邪で喉がイガイガだったにも関わらずの初体験。

水を通すので、まろやかで、タバコを吸ってるっていう感じではなかったです。タバコ吸わない私でも大丈夫でした!

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part7の続きです。

ミックがバンドの顔となり、ブライアンには出る幕がなかった。

「何故、バンドを作ったブライアンに、もう少し花をもたせてやらないのだろう?」

当時、近くにいて、事情を知る人は思ったという。

ストーンズの音楽は自分が目指すものとは違ってきていると感じていたブライアンは、自らバンドをやめたがっていた。

しかしブライアンには他に行くところがなかったし、少なくともストーンズから時々得られる激しい充足感を与えてくれるバンドが他には見当たらなかったので、ストーンズに留まっていた。

他のメンバーもブライアンを追い出そうとはしなかった。

彼の仕事は過小評価されていたが、ブライアンがどれだけバンドの演奏に貢献しているかを知っていたからだ。ミックにもバンドが絶対にブライアンを必要としていることはわかっていた。

ミックは、
「もしもブライアンがバンドをやめたいと言い出したら、彼の自尊心をくすぐってくれ」
と周りの友人に頼んだ。

だが、ブライアンの状態は日々ひどくなっていった。

「ベガーズ・バンケット」のセッションの頃、ブライアンが演奏できる状態ではなかったというのは、サンチェスやビルの著書にも書かれている。

体調が悪く、セッションを休んでばかりだったブライアンは、事務所に電話をして、自分が迷惑をかけているのではないか、ミックやキースに悪く思われているのではないかと、しきりに気にしていたともいわれている。

ミックはアレクシス・コーナーに連絡をしたという。
「ブライアンがやばいんだ。話を聞いてあげて欲しい。俺やキースじゃダメなんだ」

しかし、ミックはいよいよブライアンをはずすときが来たと感じていた。

「ミックはこれに関しては強硬だった」
とイアン・スチュワートは後に回想している。
「彼はブライアンを排除して、だれか演奏できる人間がとってかわるのは避けがたいなりゆきだ、と言っていた」

何故、ミックはこのタイミングで、ブライアンはずしを強行したのでしょう。

伝えられているように、ブライアンとミックは完全に対立していて、二人は憎しみあっていたのだろうか?

ミックはブライアンのことが嫌いだったのだろうか?

嫌いだから、いつかブライアンをはずしてやろうとタイミングをはかっていたのだろうか?
いえ、そうではないでしょう。

ミックは”嫌い”だから”メンバーからはずそう”と思うような感情的な人間ではないはず。

(ミックがブライアンを”嫌い”だったのかどうかについては、あらためて書きますが)はずしたのは単純に、この時期のストーンズにはブライアンは、……ハッキリした言葉でいうならば、演奏もまともに出来ない、メンバーが一体になって頑張るべきときにトラブルばかり起こすブライアンは”お荷物”以外の何者でもなかった、バンドに不要だった、ということでしょう。

この時のブライアンが、たとえ問題児であったとしても、自分とソリが合わなかったとしても、「バンドにとって役に立つ」存在だったとしたら、ミックはブライアンをはずさなかっただろうと思う。

ミックは、自分がバンドのマネージメントも始めて、「ブライアンはずし」は、絶対バンドにとって必要なことだ、と思ったのではないだろうか。

そして、これを強行するのは今しかない、つまりブライアンが弱っていて、反抗する気力すらない今しかない、と思ったのだ。

ツアーを再開するにも、ドラッグ問題を抱えていて、ロクに演奏も出来ないブライアンがメンバーにいては無理だった。

すべてのタイミングが、「この時」をさしていて、「出来るだけ穏便にことを進めるには、強行するなら、今しかない」と思ったのではないだろうか。

ミックは何年も後に「今だったらしばらく休んでいいよと言えたかもしれないけど、当時はそんな余裕はなかった」と語り、「あの時、ブライアンを切らなかったら共倒れになっていた。なにもそこまでお人よしにならなくてもいいだろう」と言っている。

これが本音なのだろう。

では、ブライアンの側は、本当にストーンズをやめたいと思っていたのでしょうか。

私には、一時期は確かにそう思っていたのかもしれないけれど、この時期は自分を取り戻しつつあり、またやり直せるかも、と少し希望を持っていたのではないかと思えます。人とのつながりをスパッと切ることが出来ないのが、ブライアンらしさだとも思うので。

ただ、バンド内で自分は明らかに孤立していて、必要とされていない、ということには気づいていたのでしょう。

当時のブライアンの様子に思いを馳せてみます。

この頃、ブライアンはコッチフォード・ファームでおだやかな平安を見出していた。

かつては『クマのプーさん』の作者A・A・ミルンの家だった屋敷に住み始めたのだ。

コッチフォード・ファームは田園の魅力にあふれているばかりではなく、居住性も申し分なかった。

3つの客間、6つの寝室、使用人棟、ギリシャ風温水プールを備えていた。

「その家と庭園全体を包む雰囲気は、人の気持ちをやさしくしてしまうような、そんな雰囲気でした。私はその雰囲気を感じ取ることができましたし、彼も感じ取ったのでしょう」
と、コッチフォードを訪れていたアレクシス・コーナーは語っている。

ブライアンはこの家でなんとか自分を取り戻そうとしていた。

アルコール以外はすべてやめたと公言し、家にドラッグが持ち込まれないよう、納得いくまで客の所持品をチェックしていた。

定期的に水泳をすることで、健康を取り戻そうとしていたのだろう。

「ミック・ジャガー」(アンソニー・スカデュト著、晶文社)に、次のようなことが書かれていた。

ブライアンがひどく落ち込んでいたある日曜日(まだストーンズから脱退していない頃)、両親のもとを訪ねたときのこと。

ブライアンのお抱え運転手が表の芝生で彼の父親と立ち話をしていると、ブライアンが二階の窓からふたりを観察し、まるで年端もいかない子供みたいに、不思議そうな顔をしてじっと目をこらしているのが見えた。あとで運転手は中に入っていき、ブライアンにこう尋ねた。「なぜあんな風に私たちを観察していたんです?」 するとブライアンはこう答えた。「もう一度この家に戻れたらなあ、と考えていただけだよ」

ストーンズはものすごい勢いでスーパースターに上り詰めた。

数年前は、小さなクラブで演奏させてもらうのがやっとだったグループだったのに。

ブライアンは音楽が好きで、退屈な町での暮らしが嫌で、ただロンドンで成功することを夢見ていただけだったのに。

たくさんのものを手に入れた。

引き換えにたくさんのものを失った。

もう後戻りは出来ないことはわかっている。

でも、ふと思ってしまったのかもしれない。

目指していた場所がこんなにも空虚だなんて、思いもよらなかった、と。

さて、「According To The Rolling Stones」より、ブライアンをはずしたときの状況です。

ミックもチャーリーも、ブライアンはバンドに残りたがってはいなかった、と語っています。

ミックとキースとチャーリーは、コッチフォードのブライアンの家に行き、ブライアンをはずすこと本人に伝えます。

以下はキースの発言です。

「バンドとしてやることはやったよ。ミックとチャーリーと3人で、家まで話をしに行った時は、葬式に行くみたいな気分だったね。車に乗って、郊外の田舎道を抜けて田園地帯を走ってる間、全員黙りこくったままさ。ブライアンの家が見えた時は、全員が「へーえ、こいつはすごい家だな」って叫んだよ。なにしろ元A.A.ミルンの屋敷だからね。まわりの景色を見て、「ここなら、『熊のプーさん』が書けただろうな」って思ったよ。
それからブライアンと話をしなきゃならなかったけど、本人にも何の話かわかってるんだから、変な気分さ。俺たちは、「どうするつもりなんだ? 俺たちはツアーに戻るけど、そんな状態じゃ参加できないだろう。俺たちは続けるけど、おまえは戻ってくる気はあるのか?」っていうしかなかった。バンドに留まるチャンスは提供したけど、拒否されることはわかってた。ブライアンは戻るつもりはないっていう結論は、出てたんだ。あとは、本人がどう受け止めるかさ。ブライアンが「よく来てくれたね。でもあれやこれやで、忙しくてね。今はこれを書いてるんだ」って、自分の計画をしゃべり続けてるのを聞いてるのは悲しかったよ。ジミ・ヘンドリックスとツアーするとか、そんな計画がいくらでも出てくるんだ。
俺たちは、思わず、「おまえ、大丈夫なのか?」って聞いたよ。心配してなけりゃ、わざわざ3人で家まで車で訪ねていくようなことはしないさ。それが、「おまえはクビだよ」って伝えるためだとしてもね。それでもブライアンはまだ自分の計画のことばかり話してるから、「じゃ、元気でな」っていうしかなかった」

この本がどれだけの信憑性があるのかはわかりませんが、3人でコッチフォードに向かうときの様子は、リアルに感じられます。

キースは「バンドに留まるチャンスを提供した」と言っていますが、ブライアンはここで「バンドに留まる」ことを選択できる雰囲気だったのでしょうか。

何かの本に、ブライアンは、
「自分は少し休む形にして、また戻れるようにして欲しい」
というようなことを希望したと書かれていたように思います。

だけど、
「それは無理だ。辞めるか、続けるか、どっちかしかない」
と言われて、ドラッグ問題でツアーに参加するのが不可能なブライアンには「辞める」を選択することしか出来なかった……。

つまりブライアンに選択肢なんてなかったのではないでしょうか。

だって、そうですよね、最初からミックはブライアンをはずすつもりで出向いたのですから。

この場で「ブライアンにバンドに残るチャンスを提供した」はずはない、提供したのだとしても、キースも言ってる通り”結論は出てた”、つまりチャンスを提供したのは形だけだったということになります。

ブライアンにしたって、そこまで空気が読めなくはないでしょうから、「辞める」ことに頷くしかなかった。

しかし最初から辞めさせるつもりで訪ねていったにしても「バンドに残るチャンスを提供した」なんて言ってしまうほど、”ブライアンをはずすこと”は、メンバーにとって気持ちのいいことではなかったのでしょう。

例えブライアンをはずさなければ、バンドが崩壊してしまうと全員が危機感を持っていたとしても。

チャーリーは、この結論に至るまでには多くの時間を費やしている、と言っています。

それがキースの「バンドとしてやることはやったよ」という言葉につながっているのでしょう。

更にチャーリーは「僕らにそれを(ブライアンを辞めさせることを)選ばせたのはブライアンだ」と言っています。

ここにはブライアンのどんな心理が隠されているのでしょうか……

先日のブログで、写真家のジェレッド・マンコヴィッツの発言を紹介しました。

ブライアンは写真撮影のとき、わざと顔を隠したり、おどけた顔をしたりした。

「あれはすべてみんなの関心を引くための絶望的な行為だったと思う」

ここにヒントがあるのかもしれません。

子供がかまって欲しい時にわざと叱られるような悪いことをする……、ブライアンにはもしかしてこんなところがあったのかもしれません。

子供の頃ならそれでよくても、大人の世界ではそれは通用しないのですが。

ブライアンは周りの人が不快になっていることを気付きつつも、それ以外にみんなの関心をひく術がわからなかったのかも。

バンド活動についても、ブライアンがこんな方法で周囲の人の関心をひこうとしていたのだとしたら……、マンコヴィッツの言うように、それは”絶望的な行為”だったと思います。

だって関心をひけるどころか、周りの人たちはブライアンがバンドから抜けたがってると思い込み、ブライアンに匙を投げてしまったのですから。

ブライアン本人は「なんでこんなことになっちゃうんだろう?」と、被害妄想に陥っていたかもしれませんが、もしこの推測が当たっているとしたら、周りの人に「それ(ブライアンには悪気がなくて、関心をひきたいだけ)をわかってくれ」という方が無理というものです。

それがブライアン特有の無邪気さからくるものだとしても。

キースの「ブライアンは(メンバーを)困らせようとしていた」という発言もあるので、ブライアンが本当にバンドを抜けたがっていたのでなければ、この推測は当たっているかもしれません。

まあ、本当に抜けたいと思っていたのなら、自分から抜ければよかったわけですが。

話を元に戻します。

キースは「ブライアンが今後の計画を話し続けていて、聞いているのが悲しかった」と言っていますが、ブライアンにしてみれば、そういうことを話すしかなかったのだと思います。

「辞めさせられたって、俺にはこんなたくさんの計画があるぜ」と自分を大きく見せたかったのか、それとも「こんなに計画がたくさんあるんだから、ストーンズを抜けたって俺は大丈夫」っていうことを示して、メンバーに心配をかけさせないようにしていたのかはわかりませんが……。

今までの思い出話なんてしても仕方ないし、これからの計画を話題にするしか、この場のブライアンには思いつかなかったのではないでしょうか。

ブライアンにクビを宣告したのはキース。

このときもミックは、最も重たい役目は人任せにした。

ミックが生きているブライアンに会ったのは、それが最後だった。

3人が帰った後、1人残されたブライアンは泣いたという。

ストーンズの音楽性には満足できないけれど、自分が作ったグループには愛着があるから離れたくない……、ブライアンの中には常にこのような葛藤があったのかもしれません。

故意にしろそうではなかったにしろ、ある意味、ブライアンを追い込んだのはミックだったのだろうし、自分をクビにすることについて決定権を握っていたのはミックだということはわかっていたでしょうから、ブライアンの行き場のない怒りや恨みはミックに向かったのでしょう。

次回はブライアンがバンドを脱退してからのことに触れたいと思います。(いつまで続くの……;)

ブライアンがストーンズを抜けてからどんな音楽をやりたいと思っていたのか……、推測も含めて書きます。

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