「Rolling With The Stones」

このブログで教えていただいた「Charlie Is My Darling」のビデオ版「Rolling With The Stones」を観たいなあ~と思っていたところ、運よく、中古が手に入った。

解説によると、「Charlie~」とは(契約上のこともあり)若干違うということなのですが、字幕入りなのは嬉しい。

白黒映像は、決して観やすいとは言えないけれど。音も良くないし。

「Charlie~」との違いを、youtubeで観られる映像と比べて見つけてみると、おもしろいかもしれませんね?(youtubeのも実際の映画の映像とは違うのかしら?)

さて、このビデオ、既に絶版ということなので、ブライアンのインタビュー部分だけを抜粋してみますね。(ご存知のかたも多く、なんの情報にもならないかもしれませんが)

同じ映像でも、他の字幕では、違う言葉になっているようなものがあったようにも思うのですが、とりあえず、このビデオの字幕通りに書きます。

インタビュアー(以下、I)「あなたは、結婚の事をどう思う?」
ブライアン(以下、B)「簡単さ。そういう子に出会ってないから。怖いのは――契約書にサインしてるみたいな所かな。サインには注意してる。自分の一部を持っていかれるような気がするからね。結婚なんて自分の全てを奪われそうだよ。もし1年契約で結婚できるなら、うんとハッピーになると思う」
I「1年間の結婚体験の実施を勧める?」
B「そんな練習を弁護するつもりはないね。2人の人間が、すごいスピードで恋に落ちたとしたら、すごいスピードでお互いを知る事さ。本当に結婚の練習を支持したりはできない。例え1年間の場合でも、お互いに2人の人間性が合致するか否か、よく分かった上で、結婚を決意するのだと思う。いろいろな問題はあるにしてもね。1年間の練習結婚をしても、人々の結婚観を変えるとは思えない。1年契約のことは冗談だよ。ただ永遠の事なんて想像つかないし」
I「ポップ・スターという仕事が突然なくなるとしたら、どうする?」
B「だから将来の展望が要るんだ。この先、何が起こるか分からないからね。やりたい事は、いくつかある。芸術的な事から、すごく実践的な事まで様々だよ」
I「芸術的な事というと?」
B「映画作りには興味がある。友達が面白さを教えてくれたんだよ。今やってるけど、内容は、ほぼ完璧さ」
I「聞きたいな」
B「数日前、永遠の愛と平和の新しい解釈を説明した。……ただ、それだけさ」
I「新しい解釈とは?」
B「この映画には男女1人ずつを登場させたいんだ」
I「それは古いアイディアじゃない?」
B「動き、イメージ、シンボル、様々なテクニックを使って、第3のキャラクターとしての愛を表すって構想なんだ」
I「それは抽象的なもの?」
B「そうだね。あまり新しい考えではなくても、絶対、新しいものになるよ。超現実的なね。儲けなんて、ほしくない。やりたくて始めた事だから。そんな所さ」
I「超現実主義を説明できる?」
B「それは何ていうか、現実の抽象みたいなものさ」

以前、「悪魔はもう歌わない」というブライアンが実名で出てくる小説の紹介をし(これも、たぶん絶版)、その中でブライアンが語る結婚観のことを、
「(この小説はフィクションだけど)もしかして実際のブライアンも、これに近い考え方をしていたのかもしれない」
というようなことを書きましたが、このインタビューの限りでは、別にブライアンは男尊女卑という感じでも、自分勝手な感じでもないですね。

むしろ「結婚」に対して、慎重すぎるほど慎重になっていて、恐れているようにも感じられます。

女性に対して、というより、人間に対して、深入りする前に、足踏みしてしまうというか、表向きは仲良くしていても、中々本当に心を開くということをしないタイプなのかも、というふうにも思えます。

それは相手を見下している、というよりは、むしろ自己防衛のために。

ここで語られている「1年契約の結婚」については、たぶん結婚について質問されたときに、確固とした考えがなかったから、たまたま(冗談交じりに)思っていた、もしくは誰かと話していたことを言ってしまったという気がします。

突っ込まれたので、はぐらかさずに答えようとしているものの、だんだんと苦しくなってきて「冗談だよ」というふうに締める。

しかし、「冗談」の話の部分をこんなに長く使わなくても……、と思います。

ファンにとってはブライアンの結婚観は大いに興味があることなのかもしれませんが、もっと音楽的なことなども聞きたかったな。

でもチラッと、
「覚悟してる。将来の保証は何もないからね」
「ポップ・スターにはなりたくない。スターの限度を楽しんでる感もあるが、芸術的にも個人的にも満足できないし、後悔もある。でも俺達に起きたことには、満足してるよ」
と、ブライアンが語っている映像が出てくるので、ブライアンはもっといろいろなことをたくさん話していて、でも編集の時に、カットされてしまったのかも、とも思います。

インタビューの印象としては、かなり繊細で、芸術的な人だなあ、って思いました。
儲け主義でもないし。
相手の質問にも、誠実に答えようとしている姿勢が見えるし。

なんだかなあ~、ブライアン、やっぱり全然(言われているような)イヤなヤツには思えないんですけども~っ!

コメント

  1. 30-20 Blues より:

    このブログつい先日知りました。かれこれ30年以上もstones fanで、こうなると僕の場合、暴露本、自伝ものも敢えて目を通さないという方向に行っていたので、色々調べられたこと本当に興味深くまとめ読みさせていただきました。そしてbrianへの思いもよくわかります。ただ書かれているような分析をbaseにstonesを理解されようと思うのであれば、以下について踏み込まれるのが有効かと。1)不良、ヤクザ、マフィアの世界、2)イギリス・アメリカの違い(特に生活感として)、3)成功者の心理(たとえば落ちぶれて生活保護を受けている中学時代のhero、と当時はさえなかったが今大成功している同級生)、4)drugの及ぼす影響、5)年齢を重ねることの意味、6)complexと心理学的なもの(含む精神的に破たんしている人の世界)、7) show bizの世界、8)60年代後半の音楽・ロック界事情(特にstonesの位置づけ)。どれも実体験で体感できるのがよいのでしょうが、できないことも多く、触れることで人生が変わってしまうものもあるので、本か何かで疑似体験をして、自分の中の近い体験に重ねるということぐらいですかね。それで何か新しい見方が出てくるようならぜひご記載頂ければ。楽しみにしています。

  2. るか。 より:

    30-20 Bluesさん
    コメントありがとうございます。
    また、いくつかのアドバイスありがとうございます。
    あげられている中のひとつ、ドラッグについては、
    不安が強かったブライアンは心を落ち着かせるドラッグをやることによって、
    ラクになっていたのだと思います。
    あくまでも私の想像ですが。
    後に、
    「ドラッグはダメだ、あいつは脳をダメにする、その点、アルコールは大丈夫」
    のようなことを言っていたらしいですが、
    破滅型と言われているブライアンですが、
    決して自分を破滅させたかったわけではないと思うのです。
    朝も晩もわからなくなってしまうような世界にいて、
    必死に健康的な生活を取り戻そうとしていたようですし。
    ブライアンにはミックのようなクールさ、
    そして何よりも持って生まれた健康な身体がなかったために、自分を取り戻せず、流されてしまったのだと思います。
    絶えず死の恐怖におびえていたのだと思いますが、
    決して早死にを望んでいたわけではないのだと思うのです。
    自分勝手な解釈になってしまいますが、
    これからも心を遣いながら、またいろいろ調べたりもしながら書いていきたいです。
    励ましのお言葉、ありがとうございます。