ジャジューカ・プロジェクト part17(松本仁一さんの本)

いろいろやることがあると、必然的に睡眠時間が短くなってしまうわけですが、休日、思いっきり眠っていたら10時間ほど眠っていました。

まだ眠れそうでしたが、やることも終わってないのでモソモソ起きて、気分転換にと海を見にいったら、日が暮れてしまっていて、既に夜の海。時間的にはまだ夕方な感じだったのですが。


でも波音と海の匂いが気持ちよかったです。

久しぶりに「音たち 言葉たち」に「きっと。」(BGM付)更新。よろしかったら、どうぞ。

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ジャジューカ・プロジェクト part16~ジャジューカその後を考える~」で「アフリカ・レポート」(岩波書店)という松本仁一さんが書いた本に出会ったと書きましたが、その後立て続けに松本さんの本を読みました。

最近のブログでも何度か、これらの本から引用しました。

「アフリカを食べる」(朝日新聞社)
「アフリカで寝る」(朝日新聞社)
「空はアフリカ色」(朝日新聞社)
「アパルトヘイトの白人たち」(すずさわ書店)
「カラシニコフ」(朝日新聞社)
「カラシニコフⅡ」(朝日新聞社)
「ユダヤ人とパレスチナ人」(朝日新聞社)




松本仁一さんは1942年長野県生まれ。2007年まで朝日新聞社に勤務。社会部員、外報部次長、ナイロビ支局長、中東アフリカ総局長、編集委員を歴任。ボーン・上田国際記者賞、日本記者クラブ賞等を受賞。

ここでひとつ気付いたこと。
そうです、1942年生まれ。ブライアンと同じなのです!

これだけで松本さんに親近感を持ってしまった私。

と、言いつつ、それだけではありません。

上記の本の中の「アフリカを食べる」は朝日新聞の土曜日の夕刊(関東地域)に1994年4月から1995年6月まで連載されていたコラム、
続いて「アフリカで寝る」は朝日新聞の土曜日の夕刊(関東地域)1995年7月から1996年3月まで連載されていたコラムなのですが、
「アフリカで寝る」より

異文化と出会ったとき、最初から毛嫌いしてしまっては何の発展もありません。そんなとき、食べるとか寝るとかいう分かりやすい部分から入っていくと、「なんだ、彼らも我々と同じようなことをしているじゃないか」とか、「あれ、これはずいぶん違うやり方だな」と感じることができる。そこから、いろいろ考えるきっかけが出てくるし、思いがけない事実に気がつくこともあります。

という部分を読んだ時、
「こういう物の捉えかたをする方が書いたものは、絶対おもしろいに違いない!」
と思ったのです。

その予感は当たって、それぞれの本、すべてがおもしろく、わかりやすく、興味深かったです。

アフリカで特派員生活を送るのにはタフな精神と身体が必要で、ちょっとのことで、わーわー騒いでしまうようではダメだなということも、よくわかりました。

文字を追っているだけでも、思わず目を覆いたくなってしまうシーンもありました。

思わず「そうだよね~」と深くうなずいてしまうところもたくさんあって、例えば、
「空はアフリカ色」より

国際感覚を持つというのは、文化の違いを認めた上で、相手の中に共感できる何かを見つけ出す努力をすることではないかと思う。「共感力」といいかえることもできるだろう。劣等感と優越感ばかりでは、いつまでたっても共感力を身につけることはできまい。

「へえ~~~」と感心したところ、例えば、
「空はアフリカ色」より

日本の精神文化は、多神教的生活習慣・祖先崇拝も含め、ヨーロッパ文化よりむしろアフリカの伝統と似ている。にもかかわらず近代化に成功し、その面では西欧合理主義を追い越している。

「なるほど、ううむ~」と教えられたところ、例えば、
「空はアフリカ色」より

自分たちの文化に対する自負がないところに健全なナショナリズムは育たない。ナショナリズムのない所では、大衆が参加した民主的な国造りは難しい。いつまでたっても植民地後遺症をひきずり、西洋かつらをかぶった権力者と貧しい大衆とが両極に分かれたままの”国家といえぬ国家”が続いていかざるをえない。

「カラシニコフⅡ」より

私たち日本人は国家というものを単一化してイメージしがちです。
日本語を話し、ハシを使って食事する「日本人」という民族がいる。その民族が、海で区切られたひとかたまりの国土に住み、自分たちの中から指導者を選んで行政を管理させている。それが「国家」だ。
住民はすべて戸籍に登録されており、学齢になるとみんな学校に行く。義務教育は無料だ。全国に警察の網が張りめぐらされ、山間の地でもパトカー、救急車が来てくれる。銃や刃物を持つことは厳しく規制されており、夜ひとりで町を歩いてもほぼ安全だ。国家というのは、世界のどこでもたいていそんなものだ――。
冗談ではありません。そんな国家は世界ではむしろ少数なのです。

先日も書いたイベントで、ゲストのゾマホンさんが、
「最近は物騒になってきたとは言っても、日本ほど安全な先進国はない」
と話していて、言われてみれば、確かにそうかも、と思いました。
でも実は私は、以前のブログでも引用しましたが、「アフリカ・レポート」の、

犯罪の多発は投資にブレーキをかけ、経済の発展を妨げる。経済が発展しないと貧困は解消されない。貧困は犯罪を生む。悪循環が続いている。

というところを読んだ時、
「これ、アフリカの話として片付けられないんじゃない? 日本だってこうなる危険性はある、というか、なりつつあるのでは」
と思ってゾッとしたのです。

先進国で安全な日本、情緒があって独特の文化があって愛すべき国、日本のはずなのに。

同じくゾマホンさんが「日本は外交がダメ」と話していたと先日も書きましたが、良い外交を目指し、助け合うところは助け合い、その中から必要なことを学び取り、安心して穏やかに日々過ごせるようにしていくことはできないものでしょうか。

それぞれが自立し、役割を果たしていくことが、全体のためにもなると思うのですが。

というわけで。
松本仁一さんの講演などがあれば、ぜひ行ってみたいです。
学ぶことがたくさんあるに違いないです。