「BEGGARS BANQUET」part4

さて、このシリーズ(?)もやっと最終回。笑

「BEGGARS BANQUET」を特集した、このロックジェットの中では、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」がもし「BEGGARS BANQUET」の中に入っていたら、とか、入っていたとした場合の曲順などについて語られています。

そんな中で、気になったインタピュアーというか、聞き手(藤竹俊也さんor佐藤睦さん)のこの言葉。

<ジャンピン・ジャック・フラッシュ>と<チャイルド・オブ・ザ・ムーン>が入っちゃうと、《ゼア・サタニック・マジェスティーズ・リクエスト》とのつながりが濃くなりますね。この2曲が入っていないので、前のアルバムと切れる感じがある。結果的に《ベガーズ・バンケット》は孤高の存在になったと思います。

”「BEGGARS BANQUET」は孤高の存在”。

言われてみれば、確かに。

ストーンズは当時、「サタニック・マジェスティーズ」が失敗作だと散々たたかれ、ドラッグ問題でも世間からたたかれ、このアルバムを出すに際しての意気込みは相当なものだったのでしょう。

そしてこのアルバムに、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」が入っていないというのも、このアルバムの存在感を大きくするのに重要なことだったのでしょう。

ちなみに商業路線に興味がなかったブライアンは、ビルの著書によると、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」ではなく「チャイルド・オブ・ザ・ムーン」をA面にしたかったらしいです。

このブログ名からもお察しできるかと思いますが、お月様が好きな私としては、「チャイルド・オブ・ザ・ムーン」は好きな曲なので、ブライアンのこの発言を嬉しく思いました。^^
(でも、あのプロモ・フィルムはどうかと思う……)

THE EASY WALKERSのジミーさんとジェシさんが、ストーンズにおけるブライアンの存在について語っているところを紹介します。(敬称略)

「ノー・エクスペクテーションズ」でのブライアンのスライド・ギターについての話になり、

ジェシ「あれがもうリフみたいなものですよね。<リトル・レッド・ルースター>と同じ響きをしている。割と正確な、アメリカンじゃない、奇麗で透明なスライド」
――アメリカンなスライドとは、どういう感じなのですか。
ジェシ「アメリカンのスライドは、「ブゥーン、ギューン」みたいなもので、ブライアン・ジョーンズは、割と、メロディとして、リフっぽくやっている。ギター小僧向けのスライドじゃないというか、イギリスっぽい。彼のルックスと一緒ですよ。きらびやかで、Tシャツにジーパンじゃないスライドって感じ(笑)。スーツのスライド。それがカッコいい」

「BEGGARS BANQUET」が実質的に、ブライアンの最後のアルバムになる、という話の流れになり、

ジェシ「本人の存在が希薄な感じはあるけど、ミック・ジャガーもキース・リチャーズも、かなりブライアンの影響を受けているから、彼ら個人を通して、ブライアンは、70年代に入っても、80年代に入っても、いつでも聴こえてくる。ミック・ジャガーのハープにしてもね。この時代で言うと、割とサイケな雰囲気の楽曲の中にブライアンがいる。あと、オープン・チューニングにもブライアンがいる」
ジミー「<ベガーズ・バンケット>の時期、キースはギターに目覚めちゃった」
――たとえブライアン・ジョーンズが元気だったとしても、ちょっと中に入れないくらい、ミックとキースが主張し始めたというか、前に進み始めたという事でしょうかね。
ジミー「でも、やはり、そのまま元気でいたらいたで、影響は凄いと思うけど。結局は、ミックとキースの主導権になってたんじゃないかな。でも、今作ってる曲でも、ブライアンの匂いがする曲があるくらい、ブライアンの影響力はある」
――例えば、どんな曲の、どんなところですか。
ジミー「どこかでフラワーがいたりする。ギターじゃなくても、アレンジとか」
ジェシ「明確には言及できないですけど、相当あると思います」

ミックとキースの着こなしが、ずば抜けてセンスがいいという話になり、

ジェシ「ルーツ・ミュージックをやって、レゲエをやって、いろいろな事をやっても、着こなしているものには、ブライアン・ジョーンズの影響が大きいんじゃないですかね。ブルースをやるんだったら、ちょっと靴ズミ塗って、黒人っぽくしようかな、という発想ではないじゃないですか。着こなしの一貫になっている。それはやっぱり、ブライアン・ジョーンズの器用さというか、固執しないところを、特にミック・ジャガーは学んだんじゃないですかね」
ジミー「ブライアンから、きっと学んだんだね。着こなしを」

ブライアン歴半年ちょっとの私は、ブライアン期のストーンズのことに興味を持って、いろいろ見たり読んだりするのに精一杯で、70年代以降のストーンズについては、ほとんど知りません。

でも、これを読んで、70年代以降も、ストーンズを通してブライアンを感じることが出来るんだ、と思いました。

そして、70年代以降のストーンズについてももっと知りたいと思いました。

今現在のストーンズにはそれほど興味がなかったのですが、こうなってくると、出来るだけ長く現役で元気でがんばって欲しいです。

ミックとキースは、
「俺らを通して、ブライアンを見るな」
と言うでしょうか?

今回引用したロック・ジェットの中には、「ジャジューカ」についても語られていたりするのですが、「ジャジューカ」については、またあらためて書きたいと思います。

とりあえず「悪魔を憐れむ歌」の元になったといわれる「巨匠とマルガリータ」(ブルガーコフ)を入手しましたv

それと、もうひとつ。

「サタニック・マジェスティーズ」に対する世間の評価が悪かったと言われていますが、私は割と、このアルバム好きです。